フリーランスエンジニア 疑問に答えます

インボイス制度 フリーランスエンジニアは消費税を5%支払うことで決着します!

インボイス制度は経過措置を経て消費税を5%払うようになることで決着するという話です。

10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録申請書の受付が開始されました。

実際にインボイス制度が始まるのは2年後の2023年10月からですがそれに先立ち申請書の受付が開始されたということです。

インボイス制度は少し煩雑な部分もあるためネットやSNSで間違った情報や不安を煽るような書き込みも目立ちます。
例えば
・インボイス制度が始まると免税事業者は仕事がもらえなくなる。
・インボイス制度が始まると発注者(エージェントなど)から消費税分を受け取れない。
インボイス制度が始まると免税事業者も納税義務が発生する。
などなど

全くの嘘ではありませんが少し極端な話が多いのも事実です。

そこでインボイス制度がフリーランスエンジニアに与える影響を解説していきます。

インボイス制度が始まるとフリーランスエンジニアの収入が減る状況となりますが、仕事を受けられなくなるということはありません。

 

 

インボイス制度がフリーランスエンジニアに与える影響

インボイス制度の影響を受けるのは免税事業者です

まず、インボイス制度の影響を受けるのは消費税を納付する必要がない免税事業者です。

免税事業者は前々年度の売上(年収)が1000万円以下の事業者のことです。
免税事業者は消費税を納付する必要はありません。

基準となるのはあくまでも前々年度の売上です。
そのため、売上が1000万円を超える年があっても前々年度の売上が1000万円以下であればその年は免税事業者となります。

 

まずは結論から

インボイス制度がフリーランスエンジニアに与える影響は以下の通りです。

結論

インボイス制度により
フリーランスエンジニアは受取った消費税額の半分(50%)を納付することになります

例外として仕事を出す側(フリーランスエンジニア エージェントなど)が消費税額の全額や一部を負担してくれるということも考えられますが、私の現段階での考えでは免税事業者であったフリーランスエンジニアも課税事業者への変更届をして消費税額の50%を納税することで落ち着くであろうと考えています。

なお、インボイス制度は2029年9月までは経過措置があります。

インボイス制度の経過措置の詳細についてはこちらを参考にしてください

インボイス制度実施に当たっての経過措置について

経過措置が無くなる2029年9月までは経過措置の状況により対応が変わると考えられますので後ほど説明します。

消費税の仕組み

まず、消費税の納付の仕組みが理解できていないとインボイス制度の理解が進みませんので消費税についてフリーランスエンジニアに関係する部分を説明します。

消費税は取引を行う中で預かったお金ですので税務署(国)に納める必要があります(免税事業者を除く)。

ここではエージェント経由で仕事を受けて収入(売上)を得ている場合を説明します。

下の図で説明していきます。

  1. エージェントは顧客企業から60万円の業務委託料と6万円の消費税を受け取ります(手数料として10万円をエージェントが受け取ることとします)。
  2. エージェントはエンジニアに50万円の業務委託料と5万円の消費税を支払います。
  3. エージェントは受取った消費税6万円から支払った消費税5万円を引いた分の1万円の消費税を税務署に納めます。
  4. エンジニアは受取った消費税5万円は納めません。

ここでポイントとなるのはエージェントは受取った消費税から支払った消費税を差し引いた(ここでは6万円ー5万円=1万円)分の消費税を納めればよいということです。

人から預かったお金を懐に入れてもいいと言うラッキーな制度が免税事業者という仕組みなのです。

 

インボイス制度の仕組み

ここからはインボイス制度の仕組みを見ていきます。

今までは、先ほどの消費税の仕組みの図のようにエージェントは消費税を支払ったという事実さえあれば手元に残っている消費税だけを納税すればよい仕組みでした。

しかしインボイス制度が始まると消費税を払っていもインボイス(適格請求書)を受け取っていないと消費税の支払いが認められません。

インボイス制度を一言で表すと

インボイス制度

インボイス(適格請求書)がないと消費税を支払ったことを認めないという制度です。

一部の人が言っている「免税事業者には仕事がこなくなる」と言うのは免税事業者はインボイスを発行出来ないのでエージェントは免税事業者に仕事を出したがらないだろうとの憶測での話です。

実際にはIT業界においてはエンジニアが不足している状態であるため、エージェントは落としどころを決めてエンジニアに仕事を継続して出すと考えられます。

 

次にインボイス制度がおよぼす影響について見ていきましょう。

インボイス制度による影響

まずはエージェントに影響がある

まずは何も対応をしない場合のエージェントへ影響についてです。

下の図で説明していきます。

  1. エージェントは顧客企業にインボイス(適格請求書)を発行します。
  2. エージェントは顧客企業から60万円の業務委託料と6万円の消費税を受け取ります(手数料として10万円をエージェントが受け取ることとします)。
  3. エンジニアは免税事業者なのでインボイスを発行出来ません。
  4. エージェントはエンジニアに50万円の業務委託料と5万円の消費税を支払います。
  5. エージェントは受取ったインボイスがないため消費税6万円を支払います。
  6. エンジニアは受取った消費税5万円は納めません。

ここでポイントとなるのはエージェントはインボイスを受け取っていないため、消費税を支払った根拠が示せないことから受取った消費税の全額を納める必要があるということです。

 

エンジニアに影響が波及する

上の説明で分かるようにエージェントは受取った消費税の全額を税務署に支払い、さらにエンジニアにも消費税分を支払っています。

当然、エージェントが受け取った額以上の消費税を支払うなどと言うことをするわけはありません。

対応策は後ほど説明しますが対策をしないと極論ですが以下のどちらかを選択せざるを得ません。

エンジニアが免税事業者のまま消費税分を負担する場合

  1. エージェントは顧客企業にインボイス(適格請求書)を発行します。
  2. エージェントは顧客企業から60万円の業務委託料と6万円の消費税を受け取ります(手数料として10万円をエージェントが受け取ることとします)。
  3. エンジニアは免税事業者なのでインボイスを発行出来ません。
  4. エージェントはエンジニアに50万円の業務委託料を支払います。
  5. エージェントは受取った消費税6万円を納めます。
  6. エンジニアは消費税を支払いません。

ここでポイントとなるのはエージェントはエンジニアに消費税相当額を支払わないということです

エンジニアが適格請求書発行事業者になる場合

  1. エージェントは顧客企業にインボイス(適格請求書)を発行します。
  2. エージェントは顧客企業から60万円の業務委託料と6万円の消費税を受け取ります(手数料として10万円をエージェントが受け取ることとします)。
  3. エンジニアはエージェントに対してインボイスを発行します。
  4. エージェントはエンジニアに50万円の業務委託料と5万円の消費税を支払います。
  5. エージェントは受取った消費税1万円を納めます。
  6. エンジニアは受取った消費税5万円を納めます。

エージェントもエンジニアも預かった分の消費税を納税しています

影響については極論を示しています
実際にこうなるということではなく、あくまでも影響を説明するためのものです

経過措置

冒頭にインボイス制度は2023年10月から始まると書きましたが、完全な形での運用は2029年10月からとなります。

途中2段階の経過措置がありその後に完全な形での運用となります。

2段階の経過措置は以下の通りです。

開始(2023年10月)から2026年9月まで

インボイス制度開始から2026年9月までの間は免税事業者に支払った消費税の内80%までを控除(20%を納税)することが出来ます。

図に示すとこのようになります。

  1. エージェントは顧客企業にインボイス(適格請求書)を発行します
  2. エージェントは顧客企業から60万円の業務委託料と6万円の消費税を受け取ります(手数料として10万円をエージェントが受け取ることとします)
  3. エンジニアは適格請求書発行事業者となりインボイスを発行します
  4. エージェントはエンジニアに50万円の業務委託料と5万円の消費税を支払います
  5. エージェントは預かった消費税1万円とエンジニアに支払った消費税の20%(1万円)の合わせて2万円を納めます
  6. エンジニアは受取った消費税5万円は納めません

ここではエージェントがエンジニアに支払った消費税の20%分についても支払う形で図にしていますが、今後、消費税の20%分を誰が負担するかについては議論されたり調整がなされたりすると思いますので注意が必要です

以下のような方法で調整がされると思われます

  1. エージェントがエンジニアに支払った消費税の20%分も支払う
  2. エージェントとエンジニアで消費税の20%分を折半する
  3. エンジニアが消費税の20%分を負担する

2026年10月から2029年9月まで

2026年10月から2029年9月までの間は免税事業者に支払った消費税の内50%までを控除(50%を納税)することが出来ます。

これは私の予測ですがこの時点で多くのエンジニアは適格請求書発行事業者になり消費税の半分(50%)を納税すると考えています。

なぜ、適格請求書発行事業者になり消費税の半分を納税するかというと、フリーランスエンジニアの場合は簡易課税制度を使うと消費税を半分(50%)納税すれば良いということになり、経過措置と同じ効果があるからです。

ここで簡易課税制度とは何か?ですが

簡易課税制度

消費税の計算を簡単にするために売上の金額で簡便に消費税額を計算して良いとする制度です。

計算式は以下の通りです
売上 × 消費税率 × みなし仕入れ率 = 消費税の納税額

値を埋めるとこうなります

仮に売上が50万円の場合には以下にまります。

50万円 × 10% × 50% = 2.5万円

仕入れ率分の消費税を納税すれば良いということです。

要するに経過措置でも消費税の納税額は半分になる、簡易課税制度を使っても消費税の納税額は半分なり同じなので、このタイミングで適格請求書発行事業者になってしまおうと考えると思うのです。

  • 仕入れによる消費税の支払いがないことを前提としています。従って再委託をしている場合などは当てはまらない場合があります
  • みなし仕入れ率は業種によってことなります。フリーランスエンジニアは第5種事業(運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く))に該当するため、みなし仕入れ率は50%です。

 

行き着くところは簡易課税制度です

「インボイス制度の影響」で書いた通り、本格運用が開始される2029年10月からはエージェントまたはエンジニアが消費税10%を全額納税する必要が生じます。

ただし、先ほどの2026年10月からの経過措置で書いたように消費税の納付額を半分にした方が得であるため、簡易課税制度を使うようになると考えられます。

そのため、免税事業者であっても課税事業者への変更の届けを行い、適格請求書発行事業者の届け出をして、簡易課税制度の申請をして消費税の半分を納税するようになるでしょう。

図に示すとこのようになります。

【補足】インボイス制度は小売業などの一部の事業者のみを免税事業者として認める制度です

ここまで見て頂いた方の中にはいっそのこと、免税事業者の制度を無くした方が分かりやすくて良いのではと思う方もいるのではないでしょうか。

フリーランスエンジニアのように企業から売上を上げる場合には、免税事業者でいることは難しくなると思われます。

ただし、小売業などの一般消費者を相手に売上を上げている場合には、インボイスの発行を求められないと考えられるため、免税事業者のままでいられる可能性があります。

このように免税事業者の制度は一部の限られた条件の事業者のみが得られる恩恵と言うことになっていきます。

まとめ

インボイス制度は消費税を支払ってもインボイスが保管されていないと、消費税の支払いを認めてもらいないという制度です。

そのためエージェントまたはエンジニアの両方または片方が、今まで免税事業者として受け取っていた消費税分について納税をする義務が生じます。

インボイス制度が始まると消費税の納税を最初の経過措置期間では20%、次の経過措置期間では50%、本格運用が開始されると100%行う必要があります。

そのため最初の経過措置が終わった時点でエンジニアは簡易課税制度を利用して受け取った消費税の50%を納税するようになると考えられます。

 

 

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